ここの国のココが好き!

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

2018.1.30

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

みなさんはじめまして。指宿洋史と申します。
プロサッカー選手として約5年間の欧州生活を経て、現在は日本のクラブチーム、ジェフユナイテッド千葉に所属しています

私のプロとしてのキャリアは、9年前の17歳の春、スペインで始まりました。
カタルーニャ地方の町、ジローナに始まり、サラゴサ、サバデール、セビージャ、オイペンそしてバレンシアと、スペイン5都市ベルギー1都市を渡り歩いて来ました。

単身それも突然の渡欧でしたが、今思えばあの頃の私は不思議と戸惑いがなく、異国の生活に慣れるまでに時間は掛かりませんでした。
いまでも、「一番好きな町はどこですか?」と聞かれる度に私が決まって答えるのはスペインのジローナです。
まだまだ幼かった私が多くの人、経験を通じて多くのこと学んだこの町には、格別な思い入れがあります。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

スペインの魅力は数えきれないほどありますが、日頃屋外で活動するサッカー選手にとって、まずは天候の素晴らしさが魅力です。
1年のほとんどは青い空が広がり、陽射しは程よく肌を刺激し、カラッとした気候がとても快適で過ごしやすい。ラテン語が語源となるスペイン語の響きは、そんなこの国を象徴するかのように明るく美しい。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

ジローナはスペイン北東部、フランス国境沿いに位置する小さな田舎町です。
電車を降りると、水辺に浮かぶカラフルな街並みが目の前に広がる様はまるで絵葉書を思わせ、建物の窓辺はいつも花で彩られています。入り組んだ細い石畳の路地は印象がガラリと変わり、まるで中世にタイムスリップしたかのような趣。

この景色に惚れ込んだのはもちろんのこと、何を食べても口に合う食事、種類豊富で気軽に飲めるワイン、とにかく陽気で温かい人々も街の大きな大きな魅力です。

Vol.1として、そんな私のジローナでの日々で最も思い出に残っていることを紹介させてください。
当時高校を卒業したばかりで一人暮らしも初めてだった私は、新生活をスタートしてまもなく、近所にレストランを見つけました。煉瓦作りの一軒家で、いかにも欧州らしく可愛らしい外観でした。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

自炊もままならなかった私は気付けば昼夜一人で毎日のように通い、頼むのはいつもBacalao〈バカラオ〉と言って鱈のムニエルのようなもの。他にも、冷製トマトスープのガスパチョ、お米のナポリタンのようなアロースアラクバナ、とにかく何を食べても美味しい。伝統的な習慣である毎週木曜日に食べるパエリアも絶品でした。ちなみに食後のコーヒー(スペインではコルタードと言ってエスプレッソサイズで飲む濃厚なカフェラテ)を覚えたのもこのレストランでした。
そんな私に、レストランのスタッフ、さらにオーナーであるラファはいつしか声を掛けてくれるようになり、常に笑顔の溢れている彼らにはすぐに親しみを感じました。ちなみに、この時はまだ言葉も通じません。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族

しかし、時には私を厨房に入れて身振り手振り料理の説明までしてくれ、特にラファは彼の息子と私が同い年だったからか常に私を気に掛け、新聞のサッカー記事を通してスペイン語も親切に教えてくれました。
店に通ってから約2ヶ月後、初めてラファの自宅に招かれた日のことはよく覚えています。スペインサッカーで、そしてカタルーニャ地方で絶大な人気を誇るバルセロナの試合をホームシアターで観戦しようと言うものでした。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族 ラファのご自宅で、ジローナ家庭料理を囲む

あの日ラファの家には彼の大勢の親戚が訪れ、もちろん日本人は私一人だけ。しかしそんな私を笑顔で歓迎してくれ、皆で肩を組み共にサッカーの試合に熱狂し、試合が終わる頃には家族の一員のようになっていました。まだまだ若く言葉も未熟な私は、それを超えたスペインにおけるサッカーの力と温かい人間性を強く感じました。

ジェフ千葉指宿洋史選手のスペイン記Vol.1 もう一度会いたいジローナの家族 ラファご一家と私

一軒のレストランとの出会いから、私にとって多くのジローナの思い出が生まれました。
大切なファミリーのイベントには必ず私を招いてくれ、地元の文化に触れ、私の生活のほとんどは彼らが一緒にいました。
移籍に伴いわずか一年のジローナ生活でしたが、それ以上に色濃く感じるのは彼らがいたからこそでしょう。
あれから8年が経った今もラファたちは連絡をくれ、そして私を”息子”だと言ってくれます。時々来るEメールの最後にはいつも家族の写真と一緒に、「ジローナにはいつでも君の家がある」という言葉があります。彼からのメールを開くたびにまたあの町へ戻りたいと思わずにはいれません。

指宿洋史©️ JEFUNITED

指宿洋史
プロサッカー選手。
2009年、高校卒業直前に日本人で初めてJリーグを経験せずスペインのジローナとプロ契約を結ぶ。当時17才。2012年にはセビージャFCで、世界最高峰のレベルを誇るスペインリーグで1部デビューを飾る。現在は日本のJリーグ、ジェフ千葉に所属する。
色黒だが未だに日サロに行ったことはない。

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