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ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート

2018.1.23

1月19日、世界の花屋に素敵なバラを送ってくれている、ケニアのソジャンミ農園からケタンさん、インダーさんをお迎えして、バラを束ねるワークショップを開催しました。

皆様から頂いた質問と、それに対するソジャンミ農園の二人の答えをまとめた、レポートをお届けします。

参加された方も、来られなかった方も、ソジャンミ農園について、より深く知っていただけるQ&Aです。

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート

Q:アフリカからバラが届く、ということが驚きなのですが、ケニアでバラの栽培が始まったのはいつからなのでしょうか?

A:ケニアでの花の生産は1990年代初めに始まりました。
今は合計100社程度、2500haほどのバラ農園があります。

70%ほどはヨーロッパ向けに送られますが、中東やオーストラリア、日本にも輸出されています。

どうしてこんなにケニアで花の栽培が盛んなのかというと、ケニアの気候がバラの栽培にとても適していて、日中25度、夜間には10度になる寒暖差のある場所であること、土壌や豊富な水源など、バラの生育に良い条件がそろっている、ということがあげられます。

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート ソジャンミ農園のビニールハウス

Q:どうやって、ソジャンミ農園は始まったのでしょうか?

A:ソジャンミ農園はナクルという町の、標高2,000から2,400メートルの場所にあります。

実は、ソジャンミ農園の社長であるインダーさんはインドの出身。
15年間、東インドで紅茶関連の仕事をしていましたが、ケニアがお茶の栽培にいい所だと聞き、2002年にケニアに移り住みました。

そんな中、ケニアがバラの栽培にも適した場所であることを知ったインダーさんは、その可能性にひかれ、2007年にバラ農園を始めます。

ケニアは赤道直下に位置し、年間を通して気候が安定しています。
標高2,000メートル以上に位置すること、など、バラを育てるのに最高な自然環境が整っているのです。

世界の花屋サイトで日記を書いてくれている、マネージャーのケタンさんもインダーさんの甥っ子で、インドから5年前にケニアに移り住みました。

いま、ソジャンミ農園のバラは世界中で高い評価を受けています。

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート

Q:たくさんの花がある中で、どうしてバラを栽培することにしたのでしょうか?

A:ケニアは、バラの生育に必要な寒暖差であったり、標高であったり、自然の条件が非常に整っているためです。国際的に競争力があると思いました。

Q:どこの国に輸出していますか?

A:日本はもちろんのこと、オランダをはじめ、ドイツ、フランス、イタリアなどのヨーロッパを中心に、各国へ輸出しています。

Q:ソジャンミ農園のバラが他とちがうところは、どのようなところですか?

A:ソジャンミ農園は、数多くのバラを出荷していますが、今人気がある定番品種も、明日になったら人気が無くなってしまうかもしれない。
そんな思いも同時にあり、常にユニークで美しい、新しい品種をテストしています。

ケニアの中では、決まった品種しか栽培しない農家も多いです。
もともと評価されている品種だけを育てている方が、正直楽ではあるでしょう。
新しい挑戦に積極的なところに、私達の独自性があると思います。

花にとって一番いい環境を常に模索しているので、他の農園と同じ品種のバラを育てたときでも、より高く評価されているのは嬉しいことです。

Q:新しい品種を開発するとき、どのようにイメージを膨らませていますか?

A:年間数千品種をテスト栽培しますが、自分なりにお客さんの顔を思い浮かべながら、あの人はこの品種が好きだろう、などと考えて、どれだけ栽培するか計画を立てています。仕事のなかで好きなところです。

Q:ソジャンミ農園で働く人たちは、どのような人たちですか?

A:ソジャンミ農園は、2,200人のスタッフが働いており、そのうち60%は女性で、多くがシングルマザーです。
20歳から35歳くらいの人が多いです。
ヘルスケアや保険のプログラムなどの福利厚生も整っています。

例えば、シングルマザーのウィンザーさんというスタッフは、9年前に入社し、未経験で花を束ねるところからスタートして、徐々にステップアップし、今ではパッキングハウスのマネージャーとなりました。
ソジャンミ農園になくてはならない、重要な存在です。

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート ウィンザーさん

ウィンザーさんは、ソジャンミ農園で働くことで、子供を良い学校に行かせることができました。

組織の中で人を育てることをモットーとしているソジャンミ農園は、11年目を迎えたいま、次の世代はもっと発展的になることを期待しています。

社長のインダーさんは、平日は農園近くに住み、土日は家族の住む首都ナイロビに戻ります。

インダーさんの甥で、マネージャーのケタンさんも、農園近くに住み、休みの時には趣味のバードウォッチングを楽しんでいます。

Q:働くうえで、どのようなことがモチベーションになっていますか?

A:私達ソジャンミ農園が、アフリカの農村部の発展に貢献している、ということ、世界的に競争力のある商品を生み出していること、自然の中で働いていることです。(インダーさん)

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート インダーさん

仕事は、私という一人の人間を定義づける、とても大事なものだと思っています。

自分のことをどういう人か?と聞かれた時に、ただの人、ではなく、「ソジャンミ農園のマネージャーです」と答えられること。
ソジャンミ農園がケニアでの雇用を生み出していて、失業率の減少に貢献できていること。
そんなことが、やりがいになっています。

大きな野心はありませんが、仕事が拡大することで、従業員の暮らしを充実させることができたら、と思っています。
また、一生懸命仕事をしているからこそ、趣味のバードウォッチングも楽しく感じることができます。
何も仕事をしないで、一日中鳥を見ていても、それは私にとって、楽しいとは言えないです。(ケタンさん)

ケニア・ソジャンミ農園のワークショップレポート ケタンさん

Q:バラを日本へどのように運んでいるのでしょうか?

A:ソジャンミ農園所有の、冷房設備のついたトラックで空港まで運んでいます。
空港に着いてからは、日本通運さんの冷蔵庫に入れフライトまで待機して、成田空港まで届けてもらいます。
細心の注意を払って梱包し、温度変化によるダメージを防ぐよう、日々気を付けています。

Q:日本のどういうところが好きですか?

A:日本の文化や、フレンドリーな人々、日本の人たちのビジネスセンスも好きです。
場所では去年訪れた京都が良かったです。

Q:ケニアではお花を贈る、飾る習慣がありますか?

A:キリスト教国なので、バレンタインの日にバラを送ったりということはあります。
とはいえ、貧富の差がとても激しい国なので、そういったことができるのは富裕層の一部、というのは事実です。

参加されたみなさんの中には、バラと聞くと「香り」のイメージが強い方が多く、ケニアから来たバラがあまり香らないのには驚かれていました。
(近づくと品種によって香りの強弱はちがうものの、ほんのりバラの香りがします。)

日本までは輸送に長く時間がかかるので、それに持ちこたえられるようなバラ、となると中々いい香りを持ったままでは難しい、というのが現実です。

では、農園の中はバラの香りが強いのですか?という質問には、意外と、そうでもありません、というケタンさんの回答。
もともと、持ちのよい香りの少ないバラを栽培しているからなのだと思います。

ケタンさん、インダーさんの話のなかで、今香りも強く、持ちもいいバラを開発中で、もしかしたら、あと1-2年でお目見えするかも…?
との話でしたので、そんな日が来ることを、楽しみにお待ちください。

世界各国の花の生産者の気持ちを日本の人たちに伝えたい、花を通して、旅をしているような気持ちを届けたい。
そんな想いで始まった世界の花屋。

生産者のケタンさんとインダーさんに来日していただき、直接お客様とお話しできたことは、彼らにとっても貴重な機会でした。

ケタンさん日記は世界の花屋ウェブサイト「農家さんの手仕事帖」コーナーで、これからも毎月更新予定です。
引き続き、ご覧いただければ嬉しいです。

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