世界の花屋のなかのこと

オーストラリアR&S農園のこと

2026.3.2

日本はまだ春が待ち遠しい肌寒さが続きますが、南半球のオーストラリアは今ちょうど夏の終わり。今日はそんなオーストラリアにある花農園をご紹介したいと思います。

こんにちは、そして初めまして。スタッフの浅野です。普段は海外から花を輸入する際に必要な空港での書類や手続き、また世界各地の産地ファームとのやりとり等の業務を担当しています。

日頃はそんなデスクワークの日々を送っている私ですが、2025年6月にオーストラリアのクイーンズランド州にある「R&S Flowers」という農園を訪ねる機会に恵まれました。その農園はGympieという小さな町にあり、州都・ブリスベンから北へ約200km、ビーチで有名なサンシャインコーストを通り過ぎてやや内陸に入ったところにあります。


オーストラリアの北東部に位置するGympie

列車の最寄り駅はGympie North
駅から森の中の道を車で農園に向かいます
このR&S Flowersは、ロックさんとシャリーさんというご夫婦が営んでいる家族農園です。(R&Sの”R”はRockさん、”S”はShareeさんの頭文字から。)
来日時のロックさんとシャリーさん(2025年4月)

Gympieでは広大な農園の敷地を見渡せる高台に家があり、ご夫婦と小さい子供二人と犬一匹で農園の世話をしながら暮らしています。

高台の家から見渡せる農園。左側はバンクシア、中央~右側はプロテアが主。この視界の先にも農園の敷地が続いており、他のネイティブフラワーも栽培しています。(手前は日本好きのご夫婦が作った日本庭園風のエリア)

農園で育てているのは、プロテアやバンクシア等の「ネイティブフラワー」と呼ばれる植物。私が家に泊めてもらった時も、ゲストルームに農園で採れたプロテアとバンクシアが飾ってあって感激しました。

オーストラリア名物Tim Tamとネイティブフラワーが迎えてくれました。

この農園があるクイーンズランド州は別名「Sunshine State」と呼ばれるだけあり、私が訪ねた6月(オーストラリアの冬)でも日中は太陽が燦燦と輝き、汗ばむくらいの暖かさ。これが夜になると急激に気温が下がり、薪ストーブを焚くほどの寒さとなります。

農園では日差しが強烈で日焼け止めが必須です

農園の作業に行く時は家族総出のお出かけです。農園は家からすぐ目の前ですが、歩いて回るには広すぎるので、「バギー」と呼ばれるトラクターみたいな乗物に皆で乗り込んで出発します。犬も走ってついてきます。バギーにはドアがないので、農園を見回りながら必要なところでサッと乗り降りできますし、後ろに荷台もあって収穫した花を積めるので便利です。

農園内の移動はバギーが大活躍

ロックさんとシャリーさんが農作業をしている間、子供たちも一緒について回り、お手伝いをしたり日向ぼっこをしたり。のびのびと過ごしています。

バンクシアの苗に水やり用のパイプを取り付けています
バンクシアの木々をパトロール中

実際、農園はあまりにも広くてまだまだ開拓されていない土地も残されています。そんな未知の場所を彼らは「ジュラシックパーク」と呼んでいるのですが、そこには野生のカンガルーも出没します。そんな大自然の中で一家は暮らしているのです。

ワラビー(小型のカンガルー)がいるのが分かるでしょうか

今回、このR&S農園が丹精込めて育てた植物の中から、私達は「バンクシア・プラジオカルパ」を選び、2026年2月の「花の定期便」に使わせてもらいました。

プラジオカルパを「世界の花屋」のフローリストが定期便用の花束に束ねました

このプラジオカルパは、クイーンズランド州特有の品種で、オーストラリアのバンクシアの中でも珍しい部類に入ります。また一年の中でも収穫できる時期が限られており、今回は期間限定で数週間だけ輸入することができました。

農園で収穫されたプラジオカルパ
花が咲き終わると粒々の種ができます

R&S農園のシャリーさん曰く、プラジオカルパについて「最初は地味な花だなと思っていたが、よく見ると色々な色味が混じっていて、銀色だったり紫色だったり少し緑色だったり。今はユニークで変わっていてよいなと思うようになった。」地元の花屋やフローリストにも好評で、人気が高いそうです。

バンクシア・プラジオカルパ

大変だったのは、プラジオカルパは毎年ピーク時期が違うため、いつ輸入できるか事前に読めなかったことです。2025年11月頃から数ヵ月にわたり、シャリーさんがこまめにプラジオカルパの生育状況を知らせてくれて、いつ出荷できそうか、調整していきました。

①まだ新芽が多い
②蕾が育ってきた
③あともう少し
④手の平サイズまで来ました
⑤大きいものは顔よりも長く育ちます
⑥豊作!!

驚くべきことに、実はR&S農園は私達がコンタクトをとるまで花を海外に輸出したことがありませんでした。私達に花を届けるために、輸出にともなう許認可や登録、書類の作成、国際輸送に耐えうる梱包等、数々のハードルを乗り越えてくれたのです。そんな現地での努力の甲斐あり、プラジオカルパは元気に日本に来てくれました。

  
箱詰めされて日本への旅を待つプラジオカルパ
  
無事日本に到着したプラジオカルパを水揚げ

今回は、数量が限られることもあり、大半は「花の定期便」に使わせてもらいましたが、いつかもっと多くの皆様にお届けできる日が来ることを願っています。

また、R&S農園では新たな品種の育成も続々とトライアル中。なにしろ敷地にはまだまだ余地がありますから、リクエストがあれば植えて試してみたいとのこと。早速、私達の希望リストから土壌や天候に合いそうなものを選んで、苗を育て始めたという便りが届きました。

農園に植える前に、家のテラスで苗を生育中

このR&S農園から将来、新たな品種を皆様にお届けできる日が来ることを私達も楽しみにしています。

浅野

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農家さんが心を込めて育てた草花を商品にしました。お部屋での飾りやすさを大切にデザインしています。

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