世界の花屋のなかのこと

手前醤油

2024.3.5

2月の初旬、東京では雪が降った翌日、醤油絞りを行いました。
毎年冬に仕込んで何度も天地返し*1をして、一年かけて大切に発酵させたもろみをこの時期に樽仲間たちと絞ります。あまり見ない作業だと思うので、その絞りの様子を少し紹介したいと思います。

絞る前にできたもろみをひと口味見し、今年の出来は良いねと盛り上がります。もろみにお湯を入れながら竹棒でゆっくりと詰まらないように混ぜ、比重を計りながら薄めていきます。うまみ成分の量で薄め方が変わります。

絞りには、「ふねと」呼ばれる木製の圧搾機を使います。溶かしたもろみを大きな柄杓で専用の絞り袋に入れて、ふねの枠の内側に折りたたんでは交互に重ねます。袋からしみ出た汁は私たち日本人が毎日のようにいただいている醤油。一番絞りの醤油がポタポタリと音を立てる様子には、毎回のことながら歓喜の声が上がります。

ふねは見た目も美しく年々使い込まれていきます。使いやすさの工夫が至る所に施されて、機能的である事はもちろん日本の暮らしの中の用の美を感じます。注ぎ口の形と木目にもうっとり。

搾りたて醤油をグラスに入れてみました。まだ酸化していない赤みがかった美しい色をしていますね。

そして、ふねに重しを積んで圧力を加えてから絞り出されてくる醤油には、大豆からも染み出るうまみも加わり、味もどんどんと変化していきます。しかし、絞り出されていく醤油は不思議と澄みゆきます。袋の網目が狭くなってフィルターの役目となり、透明度が上がっていくので本当に不思議です。絞った醤油は大鍋に移して80度まで火入れをします。後半の絞り分は生醤油にします。

火入れの間は、釜の薪を調節しながら、持ち寄りのランチ会です。毎回手作りの品々には焼けますが、絞りたての醤油を使った焼きおにぎりともろみをトッピングした卵かけご飯があれば何もなくても良い気がしています。何よりのご馳走です。

火入れが終わり醤油と生醤油は持参した瓶に詰めて持ち帰ります。貴重な1年分の醤油の出来上がりです。仲間と自然の恵みに感謝ですね。最後は道具たちにも感謝の気持ちを込めて後片付けをします。醤油色に染まった絞り袋も丁寧に洗い、モミの絞りかすは持ち帰り、チャーハンの隠し味にしたり、クッキーに混ぜたりと、全て余さずいただきます。

こういった物作りは、算数、理科、社会、家庭科などが実践の中で学べるので、子供たちの体験にもおすすめです。

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*1 仕込んだ麹の上下を入れ替える作業

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農家さんが心を込めて育てた草花を商品にしました。お部屋での飾りやすさを大切にデザインしています。

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