世界の花屋のなかのこと

Vol.33 松森の秋の夜長の友だち

2020.9.30

こんにちは、松森です。
道端にはススキが揺れて、急に秋らしくなってきましたね。最近の朝の通勤途中の楽しみはふわふわの葉っぱが一列に並ぶ可愛らしいにんじん畑を眺めながらのドライブです。

今日は絵本について書きます。

皆さんは幼い頃の思い出の中に絵本の記憶はありますか?我が家の本棚からお気に入りのメンバー達を何冊かご紹介したいと思います。今回は植物が出てくる絵本を4冊、選んでみました。

まず、始めにご紹介するのは、「ひみつのカレーライス」です。

世界の花屋 のなかのこと

ふみおが大好きなカレーライスを食べていたら、中から出てきたのは、なんとカレーの種、その種を植えて家族総出で育てます。そして立派に育った木からはなんと…!!

内容は秘密にしておきましょう。紹介すると言っておいてなんですが…。
ストーリーは単純ながら、何度読んでも味があって、カレーの出てくるページでは紙面をこするとカレーの匂いがしそうなのです。小学校の読み聞かせでも何度も使わせてもらっていますが、子供たちも先生も私も、絶対にカレーライスが食べたくなる一冊です。食べたくなるのはきっとみんなお母さんの作ったカレーライスだと思います。昭和の香りがたっぷりのこの絵本、ぜひ手に取ってみてください。

次のメンバーはとてもかわいい、丸太の男の子が登場する「キュッパのはくぶつかん」です。

世界の花屋 のなかのこと

収集癖のあるキュッパが、森からいろいろなものを拾い集めていましたが、沢山になりすぎて博物館を始めるお話です。集めてきたものがずらり、細々と床に並べられているところが描かれているページでは、あらゆる材質のものがキュッパなりに分類されていて笑えます。
拾ってきたものを分類して美しく展示するキュッパからは、楽しく整理整頓することを学び、そして最後には、使わなくなったものをきちんとリサイクルする、というのが、さすがリサイクル率の高いノルウェーの絵本です。絵はとても可愛らしく、おしゃれで、本棚に並べておきたい一冊です。

次にご紹介したいのは私の大のお気に入り「Life」です。

世界の花屋 のなかのこと

町外れにある「Life」という小さなお店には、誰かが働いているわけでも、何かが売っているわけでもありません。「Life」にやってくる人は、そこに何かを置いては、別の何かを手にして帰る、またはそこで何かを手にしては、別の何かを置いていきます。

初めに、おばあさんが春に咲く花の種を「Life」に置きに来ます。おばあさんは、おじいさんとずっと花を育てていましたが、おじいさんがいなくなった時、寂しさで花を育てるのをやめてしまったのです。その種は「Life」に来た人々の手に渡り、次の春にまた美しい花を咲かせます。その花を見たおばあさんの心には、生きる希望という春風が吹くのです。そしてまた、おばあさんも「Life」からいくつか種を持ち帰ります。その後はおじいさんの思い出を大切に暮らしていきます。そして、きっとまたその種達は「Life」に来る人々に受け継がれ、いろいろな人の人生に花を添えることでしょう。

「Life」を利用する人達の思いや、物を大切にする気持ちがあたたかくて、人々の生活が生き生きと描かれ、人は互いに生かされながら生きていることが伝わる作品です。絵を描いた松本春野さんの柔らかい空気感は、祖母のいわさきちひろさんの絵と、どこか共通している気がします。

最後にご紹介する本は、広い野原の野バラのしげみの中に住む虫さんたちのお話です。タイトル「しげみむら おいしいむら」。

世界の花屋 のなかのこと

この絵本は、長女が赤ちゃんの頃に古本市で見つけました。

「しげみむら」に住む虫さんたちが花の蜜や花粉をせっせと集めて、野原のお菓子屋を開きます。隣村からケーキの配達の依頼があり、はちの兄妹が一生懸命に配達するといった、かわいいお話しなのですが、長女はどこを気に入ったのか、お休みタイムになるとこの本を持ってきて、読んであげると、いつの間にかスヤスヤと眠ったものでした。

娘がすこし大きくなってくると、私が疲れている日など、読んでいるうちに、本が倒れるぐらいグラグラ、ガクガクとなっている寝落ち寸前の私の腕から絵本をすーっと抜き取って、そーっと閉じて枕元に置き、くるりと布団に入り静かに眠るような日もありました。まるで眠り薬のようなこの本は次女の時にも同じ役割を果たしてくれました。

今でも時々三人で、この本を読んで寝ようと思うのですが、開いただけでみんな大あくび、すぐに寝てしまい誰が先に寝たのかも分からない位です。書いている今も、この本のことを思い浮かべただけであくびが出てしまいます。これはもう絵本の域を超えているのではないでしょうか、こんなに素晴らしいコミニュケーションと思い出を沢山くれた絵本は、汚れや傷も愛着となって宝物になっています。

絵本は幼い子供にとっては、いろいろな疑似体験であったり、未知の世界への扉ですが、私にとっては心通う茶飲み友達のようなものです。皆さんも読書の秋、ぜひお気に入りの絵本を探してみませんか?

絵本探しのオススメは本屋ではなく図書館の児童書コーナーです。新書や人気作家などだけでなく新旧沢山あるので、ご自身の感性で、名作を探しに図書館に出かけてみてください。私も平日の空いている時間、久しぶりにふらふらと行って、また新しい絵本に出会いたい今日この頃です。

松森

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農家さんが心を込めて育てた草花を商品にしました。お部屋での飾りやすさを大切にデザインしています。

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