世界の花屋のなかのこと

Vol.29 松森の植物日記 8月

2020.8.26

こんにちは、松森です。少し秋の気配も感じられる気がする今日この頃、皆さんは何から季節の移り変わりや夏終わりを感じますか?

洗濯物の乾く早さ、雲の形、夏の日差しに耐えた新緑の逞しい色、地中ではもうサヤをつけているであろう落花生畑、畑一面を青々と覆い尽くす里芋の大きな葉っぱ、金色に実り輝く稲穂…。食いしん坊の私としては青く膨らむ栗のイガを見ているだけでワクワクします。

日本の夏、皆さんは揺れるものと言えば何を思い浮かべますか?

風に揺れる七夕の笹や短冊、風鈴などもより風を感じることができて涼しく感じ、リラックス効果もありますよね。今年の夏は本当に暑さが厳しく、自宅で過ごす時間を少しでもリラックスして快適に過ごして頂けたらと思い、今回は私の趣味のひとつでもあるヒンメリをご紹介したいと思います。

世界の花屋 のなかのこと

ご存知の方もいらっしゃると思いますがヒンメリ(himmeli)はフィンランドの伝統装飾で麦わらに糸を通して形作った、多面体の飾りを繋げたモビールです。

ヒンメリの歴史は1150年頃から始まったそうで穀物の精霊が宿り、幸せを呼ぶ力があると信じられていました。1000年近くも前にこんなに美しく繊細なモビールが作られていた事に驚きました。ヒンメリはとても軽くて、ほんの少しの空気の流れでもゆらゆらと回ります。重なり合った数々の幾何学模様は回るごとに表情を変え、部屋に明かりが灯れば繊細な影が映し出されてとても幻想的です。

そしてもう一つ魅力を感じる点は収穫した後のライ麦の食べられない所を使い、作られているという点です。日本でも米を収穫した後の稲藁でしめ縄やワラジなどを作ったり、堆肥づくりや牛の餌など無駄なく使われています。そういった残ったものに工夫を加え新しいものを生み出すという共通点に魅力や共感が生まれました。

世界の花屋 のなかのこと

私が初めてヒンメリを知ったのは娘が生まれた時です。赤ちゃんには揺れるものを見せると良いそうだ、と聞き、モビールを探していて知りました。今では友人と畑でライ麦を育て、収穫してヒンメリ作りを楽しんでいます。ヒンメリ作りはまだまだ初心者ですが、材料を育てるところから自分でやると、出来上がったヒンメリの愛おしさはひとしおです。

世界の花屋のなかのこと世界の花屋のなかのこと

収穫したての青麦で作る清々しい姿から、日を追うごとにピカピカと驚くほど自然の光沢が出て、光のモビールへと変わり、楽しませてくれます。世界の花屋で使われているワイルドな花材たちとの相性も良く、下げたり中に入れたりと飾り付けを楽しんでいます。

世界の花屋 のなかのこと

私は花屋という職業上、茎が空洞な植物を扱うと、ヒンメリが作れないかなぁなんて思ってしまいます。

今、畑では大豆や小豆を育てていますが、手仕事好きな仲間たちと綿花やホウキモロコシなども育てています。畑仕事は私の心と体のカレンダーを自然とめくってくれます。

世界の花屋 のなかのこと

まだまだ残暑が厳しいと思いますが、ほんの少しずつ秋の気配を感じ、どうぞ夏の疲れを癒してください。

松森

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農家さんが心を込めて育てた草花を商品にしました。お部屋での飾りやすさを大切にデザインしています。

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